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インフルエンザと風邪と漢方薬  ~昔からの知恵と現代の暮らしに役立つ工夫~

こんにちは。朝晩の冷え込みが増してくると、どうしても気になるのが「風邪」と「インフルエンザ」です。職場や学校で流行しやすく、家族内でうつってしまうことも少なくありません。
私自身も毎年のように「喉がイガイガするな…」「あれ?ちょっと寒気がするかも?」と、早めの対応に悩む時期があります。
そこで今回は、現代医学の観点はもちろんのこと、昔から日本の家庭で親しまれてきた 漢方薬や民間療法の知恵 にスポットを当ててみたいと思います。

風邪とインフルエンザの違いを知る

まずは基本的なところから。風邪とインフルエンザは似ているようで大きく違います。

◆風邪:主にライノウイルスやコロナウイルスなど数百種類以上のウイルスが原因。鼻や喉といった上気道に炎症を起こし、症状は「鼻水」「咳」「喉の痛み」など軽度なものが多いです。発熱しても38度未満で、数日で回復することが多いのが特徴です。


◆インフルエンザ:インフルエンザウイルスによる急性感染症。突然の高熱(38〜40度)、関節痛、筋肉痛、倦怠感など全身症状が強く現れます。重症化すると肺炎や脳炎を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
つまり、風邪は「のどや鼻が中心で、軽めに長引く」ことが多く、インフルエンザは「急激に全身がダウンする」という違いがあります。

予防の基本は日々の生活習慣から

どちらも「免疫力」が鍵になります。ワクチン接種や手洗いはもちろん大切ですが、普段の生活がしっかり整っていないと、どうしても体がウイルスに負けてしまいます。

  • バランスのとれた食事:根菜類、きのこ類、発酵食品を意識して。腸内環境を整えることが免疫強化につながります。
  • 十分な睡眠:寝不足は免疫力を一気に下げてしまいます。夜更かしを避け、体のリズムを大切に。
  • 適度な運動:軽いストレッチやウォーキングで血流を良くし、体を温める習慣をつけましょう。
  • 加湿と換気:ウイルスは乾燥を好みます。室内の湿度を50〜60%に保ちつつ、定期的に空気を入れ替えることがポイント。

昔から「風邪は万病のもと」と言われてきたのは、体調を崩すとほかの病気にもつながりやすいから。だからこそ、普段からの予防が大切なのです。

漢方薬で整える

日本では古くから漢方薬が「風邪のひき始めの常備薬」として重宝されてきました。現代でも医師が処方するケースが多く、体質や症状に合わせて選ばれます。


●葛根湯(かっこんとう):「ゾクッ」と寒気を感じた時の定番。肩こりや首筋のこわばりがあるときにも。初期対応で使うと効果的とされます。
●麻黄湯(まおうとう):高熱・頭痛・関節痛が強いときに。インフルエンザの初期症状に対して処方されることもあります。
●小青竜湯(しょうせいりゅうとう):水のような鼻水やくしゃみに効くとされ、花粉症にも使われます。
●桂枝湯(けいしとう):微熱や発汗があり、体力が弱っているときに優しい効果をもたらす漢方です。


漢方薬は「症状そのもの」ではなく「体質と全体のバランス」を見て処方されるのが特徴。現代医学と併用できる点も安心です。また、使い方を誤ると逆効果となるので要注意!です。

漢方薬を「複数飲む」ときの注意点

最近では病院で処方されることも増え、市販薬やサプリメントのように身近になった漢方薬。自然由来という安心感もあって、つい「いくつも飲んでも大丈夫そう」と思ってしまう方もいるかもしれません。
けれども、漢方薬も薬である以上、複数を組み合わせるときには注意が必要です。


① 同じ生薬が重複していないかチェック
漢方薬は「生薬(しょうやく)」と呼ばれる草木や鉱物などの素材を組み合わせて作られています。
たとえば有名な「葛根湯」と「麻黄湯」には、どちらも 麻黄(まおう) という生薬が含まれています。重複すると動悸や不眠などの副作用が出やすくなることがあります。
また、甘草(かんぞう)も多くの処方に入っている代表的な生薬です。甘草が重なると、むくみ・血圧上昇・低カリウム血症といった症状につながる場合があります。
複数の漢方を同時に飲むときは「同じ生薬が入っていないか」を必ず確認しましょう。

② 西洋薬との飲み合わせに注意
漢方薬と一緒に処方されることの多いのが西洋薬です。基本的には問題ない場合も多いですが、なかには相互作用が起きやすい組み合わせも存在します。
たとえば、
・甘草を含む漢方薬 × 利尿薬 → カリウムが減少しやすくなる
・麻黄を含む漢方薬 × カフェインや強心薬 → 動悸・血圧上昇のリスク
・人参を含む漢方薬 × 抗凝固薬 → 血液サラサラ作用が変化する可能性
自己判断せず、医師や薬剤師に相談することが大切です。

③ 体質に合った処方を選ぶ
漢方の大きな特徴は「体質(証)に合わせる」という考え方です。たとえば、同じ「冷え」でも、胃腸が弱っている人には「人参湯」、血の巡りが悪い人には「当帰芍薬散」などと、処方が変わります。
複数の漢方を飲むと「本来の証からズレてしまう」こともあり、かえって効果が分散することも。体質や症状をきちんと見極めて、必要な処方だけを選ぶのがベストです。

④ 飲むタイミングを工夫する
漢方薬は通常「食前または食間」に飲むことが多いです。これは胃が空っぽのときの方が吸収されやすいためです。しかし、複数を飲むときは「まとめて飲むのか」「時間をずらすのか」も気になるところ。
基本的にはまとめて服用して大丈夫な場合が多いですが、胃腸が弱い人や量が多い人は、2回に分けて飲むなど工夫してみても良いでしょう。

⑤ 自己流で増やさない
「効き目が足りないから別の漢方も足してみよう」と自己判断で複数を飲み始めるのは要注意。漢方薬はゆるやかに作用するものの、体質と合わなければ副作用が出たり、逆に体調を崩すこともあります。
たとえば、体力のない方が「麻黄」を含む漢方を重ねて飲むと、発汗や消耗が強まり、疲労感が増すことも。必ず医師・薬剤師・漢方に詳しい相談員に確認してから始めましょう。

⑥ サプリメントや健康茶との併用
最近は「サプリメント+漢方薬」という組み合わせも増えています。しかし、サプリにも生薬やハーブが含まれている場合があり、知らないうちに同じ成分を重複していることもあります。
たとえば、
・甘草入り健康茶 × 甘草を含む漢方薬
・高麗人参サプリ × 人参を含む漢方薬
「自然のものだから安全」とは限りませんので、必ず成分表示をチェックしましょう。


漢方薬を複数飲むときの注意点をまとめると、
●同じ生薬が重ならないか確認する
●西洋薬との飲み合わせに注意
●体質に合った処方を選ぶ
●飲むタイミングを工夫する
●自己判断で増やさない
●サプリや健康茶との併用に気をつける


複数の漢方薬を取り入れることで体調管理に役立つこともありますが、正しく使うことが何より大切です。疑問があるときは、必ず医師や薬剤師に相談してくださいね。

民間療法の知恵

私たちの祖父母の世代から伝わる「民間療法」も、冬の体調管理に役立ちます。科学的根拠は薄いものもありますが、「やってみると体が楽になる」「気持ちが落ち着く」という実感があるのも魅力です。

●大根はちみつシロップ:大根を角切りにしてはちみつに漬け、出てきたシロップを飲む。喉の痛みや咳にやさしい。
●生姜湯:おろし生姜にハチミツや黒砂糖を加えてお湯で割る。体を芯から温め、冷えによる免疫低下を防ぎます。
●梅干し湯(梅干し茶):梅干しにお湯を注ぎ、ほぐして飲む。クエン酸で疲労回復、唾液分泌も促進。
●ネギの知恵:首にネギを巻いたり、枕元に置いたりする昔ながらの方法。殺菌効果や血行促進が期待されてきました。
●黒豆や甘酒:冬の栄養ドリンクとして親しまれたもの。甘酒は「飲む点滴」と呼ばれるほど、ビタミンやアミノ酸が豊富です。
●カリン酒:寒くなる季節に出回る「カリンの実」を角切りにしてホワイトリカーと氷砂糖に漬け、出てきたシロップを飲む。風邪の予防や咳止め、喉の痛み、疲労回復にも効果的です。

こうした知恵は、薬に頼らずとも「体を温めて休養する」ことを基本にしており、現代でも取り入れやすい工夫が多いですね。

私の冬の過ごし方

個人的には、寒気を感じたらすぐに葛根湯を飲み、夜は生姜湯を飲んで早めに布団に入るようにしています。加湿器をつけっぱなしにするよりも、洗濯物を部屋干しする方が自然な加湿になり、朝起きたとき喉が痛くなりにくい気がします。
また、梅干しをお茶に入れて飲むと、なんだか「体がシャキッ」とするのもお気に入りです。昔ながらの習慣って、心の安心感にもつながりますね。

まとめ

インフルエンザと風邪は似ているようで全く違い、治療法も予防法も異なります。しかし、共通して言えるのは「免疫力を高める生活」が一番の防御策だということ。
漢方薬は体質に合わせてサポートしてくれる頼れる存在ですし、民間療法には「体を温め、休ませる」という自然な考え方が息づいています。
現代の医学と昔ながらの知恵をうまく組み合わせて、この冬も元気に乗り越えていきましょう。皆さんのご家庭でも、取り入れられる工夫をぜひ試してみてください。