ブログBLOG

SEARCH

ハロウィンと黒猫

かわいらしくもどこかミステリアスな“黒猫”と、秋の夜に訪れる「ハロウィン」の関係性について、日本と海外それぞれの魅力や違いがあります。どうぞ、しばし闇夜の物語へお付き合いください。

ハロウィンの起源と由来

ハロウィンの起源となったお祭りは、主に「サウィン祭(サムハイン祭)」です。これは2000年以上前の古代ケルト民族が現在のヨーロッパで行っていたお祭りです。

●サウィン祭とは

サウィン祭は、古代ケルト民族にとって一年の終わりであり、夏の終わりと冬の到来を告げる重要な収穫祭でした。ケルト暦では11月1日が新年とされており、その前夜の10月31日に行われるサウィン祭では、現世と来世の境目が曖昧になり、
死者の霊が家族の元へ戻ってくると信じられていました。

●悪霊からの防護

死者の霊とともに悪霊もこの世に現れると考えられていたため、ケルトの人々は悪霊に人間だと気づかれないように仮装をしたり、魔除けのために焚き火をしたりする風習がありました。また、悪霊が家に悪さをしないように、家の外に食べ物や飲み物を
用意していたとも言われています。この風習が悪霊を払う仮装や、「トリック・オア・トリート」でお菓子を配る習慣の起源になったとされています。

●キリスト教との融合

時代とともにキリスト教文化が広まる中で、サウィン祭の風習はキリスト教の「諸聖人の日(All Hallows’ Day)」11月1日の前夜祭「All Hallows’ Eve」と結びつき、やがて「Halloween(ハロウィン)」と呼ばれるようになりました。
しかし、ハロウィン自体はキリスト教の正式な祝祭ではありません。

ハロウィンをイメージする色の意味

ハロウィンの起源は古代ケルト人の収穫祭とされ、死者の霊がこの世に戻ってくると信じられていたため、悪霊から身を守るための色や要素が取り入れられてきました。

●オレンジ色:

秋の収穫やカボチャの色を表し、太陽の恵みや生命力を象徴します。特に、悪霊を追い払うために使われる「ジャック・オー・ランタン」の材料であるカボチャの色に由来します。炎の色も連想させ、魔除けの意味も持ちます。

●黒色:

黒色はハロウィンの夜の雰囲気や神秘性を表す色です。夜の闇や死、影、恐怖を象徴し、魔女、コウモリ、黒猫などのハロウィンを連想させる生き物の色でもあります。

●紫色:

紫色はハロウィンが持つ神秘的な要素を表します。夜の光、月の光、そして超自然的な力や魔法を象徴し、 月明かりの夜空を意味することもあります。

●白色:

お化けやガイコツ、骨などを表現します。

●赤色:

血や危険を象徴します。

●緑色:

毒や怪物のような不気味なものを表します。

黒猫がハロウィンと結びつく理由

●魔女の使いとされているから

  • ケルト人の間では、猫には未来を予知する力があると考えられていました。
  • また、黒猫は真っ黒な体が闇夜に紛れやすいため、魔女が悪事を行う際に最適なパートナーとして魔女のお供とされていました。
  • 魔女が黒猫に化けているという迷信もあり、ケルト人にとっては黒猫が不吉な生き物と捉えられていた時代もありました。
  • 「ハロウィンの夜に魔女が黒猫を馬車に変えて人間界にやってくる」という迷信も存在していました。

●不吉なものの象徴とされていたから

欧米では、黒い色というだけで不気味なものとして敬遠され、かつては不吉の象徴とされて魔女狩りなどで殺されることもありました。特にイタリアでは、迷信を信じる市民によって年間6万匹もの黒猫が殺害されているという報告もあります。

黒猫の文化的意味や違い

黒猫は、特に西洋では「不吉な象徴」としてのイメージが根強いです。「黒猫が横切ると不幸が訪れる」という迷信が根付いていて、特に中世の魔女裁判と結びつけられ、黒猫は邪悪の象徴とされてきました。
欧米には「黒猫が前を横切ると不幸がおこる」、また「十三日の金曜日に黒猫を見ると不幸がおこる」といった迷信があり、中世ヨーロッパでは黒猫を飼っているというだけで女性が魔女とみなされて処刑されるなど、黒猫を不吉な動物としてきた歴史があります。
一方、日本やイギリス、スコットランド、ドイツなどでは、逆に「幸運の象徴」とされることもあります。特に日本では、黒猫に触ることで「幸運が訪れる」とされ、飼うことは「家庭に幸福をもたらす」と語られます。 イギリスでも「黒猫を飼うと幸福になる」と
信じられ、航海者が船に黒猫を乗せていれば「安全で幸運」と見なしていたという逸話もあります。 また、スコットランドでは、黒猫が家に来ると「金運・幸運が舞い込む」とされたり、ドイツでも同様の「縁起がある」といわれています。
このように、黒猫は文化・地域によって「不吉」と「幸運」、両極端な意味合いを持ち、多様な物語を紡いできました。

日本における黒猫のイメージ

日本では、黒猫は昔から「福猫」として親しまれてきました。

●魔除けや幸運の象徴

  • 夜でも目が見えるという理由から、日本においては魔除けや幸運、商売繁盛の象徴とされてきました。
  • 黒い招き猫は「魔除け」や「厄除け」の意味を持っています。ちなみに白い招き猫は「福」を招きます。 右手招き猫は「お金や財産」を招き、左手招き猫は「人や客」を招くといわれております。
  • 病気治癒の言い伝え:江戸時代には、黒猫を飼うと労咳(結核)が治るという迷信があり、新選組の沖田総司も労咳を患った際に黒猫を飼っていたとされています。

●著名な例としては、平安時代の宇多天皇も黒猫を愛育していたと記録が残っています。夏目漱石の小説「吾輩は猫である」のモデルも黒猫(カラス猫)だったと言われています。

黒猫インスタ映え問題

最近言われているのが「インスタ映え問題」です。実は、現代においても黒猫だけでなく、特に迷信があるわけでもない黒犬もまた、黒猫と同様に養子縁組率が低く、殺処分数が多いのです。
その理由としてあげられているのが、黒猫も黒犬も写真に綺麗に撮るのが難しく、インスタグラムにアップしても ”いいね” がつきにくいからというものです。確かに黒猫も黒犬も全身毛色が黒いので、目以外の鼻や口が同化してしまい可愛く撮るのが難しいかも
しれません。今は様々多様な写真加工アプリなどがあるので、撮影後に表情がわかるような加工も簡単にできるので、アプリを活用するのもいいでしょう。
ハロウィンに関係なく、黒猫だから、黒犬だからと敬遠し、殺処分されることのない世界になっていくといいですね。

現代における黒猫とハロウィン:共感と啓発の輪

ハロウィン前の10月27日は “全国黒猫の日” (National Black Cat Day) です。これは、保護猫の中でも特に黒猫は養子縁組率が低く(=里親がなかなか見つからない)、殺処分数が多いことから、黒猫の里親探しを促進するため、
イギリスの動物愛護団体 Cat Protection が2011年に10月27日を ”全国黒猫の日”(National Black Cat Day)とし、それがアメリカに広がりました。このように現代では、黒猫に対する扱いを見直そうという動きも盛んです。
また、アメリカ・ウェストバージニア州のシェルターでは、ハロウィン期間中の「いたずら目的で黒猫を飼うこと」を防ぐために、その週の黒猫の譲渡を一時停止する取り組みがありました。
一方で、「Black Cat November」(黒猫の11月)というキャンペーンで正しい理解を広める活動も見られます。 マサチューセッツ州やセイラムでは、ポップで楽しい黒猫関連イベント(例えば「Purranormal Cativity」)を通じて、
ネガティブなイメージを払拭しようとする努力が続いています。黒猫は遺伝的に健康面に強い個体が多く、害虫を食べてくれるなど、実用面でもメリットがあることが示唆されています。
見た目のギャップ(黒い毛皮に黄色い瞳など)が魅力的で、現代のSNS映えやアートなどでも人気の被写体になっています。

「黒猫」に関する主な記念日

●8月17日:黒猫感謝の日(Black Cat Appreciation Day)
●9月6日*:日本/実際は「黒の日」。日本の猫好きさんの間では、特にSNSで語呂合わせの9(く)6(ろ)から「#黒猫の日」として盛り上がっています。
●10月27日:アメリカ、イギリス/全国黒猫の日(National Black Cat Day)
●11月17日:イタリア/黒猫の日(Gatto Nero Day (Black Cat Day))


このように「黒猫」に関する記念日が多いのは、なかなか里親が見つからないなど、過去からの間違った言い伝えや、見た目の偏見で、里親がなかなか見つからず殺処分が多い!ということでもあります。
これらの記念日を知り、どの国でも「黒猫は幸運の象徴である」という考えを広め、迷信や偏見をなくすための活動を後押しするためSNSでは「#黒猫感謝の日」や「#BlackCatAppreciationDay」といったハッシュタグを使って、黒猫の写真やエピソードを
共有し、その魅力を伝える取り組みも広まっています。

代表的なハロウィン猫ノベルティ

●魔女帽子をかぶった黒猫のマスコットや、ジャック・オ・ランタンを持った猫の小さなぬいぐるみ、キーホルダーなど
●猫をモチーフとしたハロウィン限定の文房具:付箋、メモ帳、鉛筆、消しゴム、ステッカー・シール、ハロウィン限定ミニカレンダーなど
●ハロウィン仕様の袋に入ったお菓子:チョコ、キャンディー、クッキーなど
●ハロウィン柄の雑貨・小物:マグカップ、ミニポーチ・トートバッグ、マスク、缶バッジ、キャンドル、ハンドタオルなど

ふと見上げた夜空に、まんまるの満月が現れるように、ハロウィンの夜には黒猫たちが闇からそっと姿を現します。魔女の使いだったり、不吉な存在だったり。けれど、それ以上に私たちに「幸運」や「守り」を象徴するものとして、
ここ日本でも、そして世界のあちこちで、愛される存在になりました。日本と海外、それぞれの文化が交わり、変化しながらも、黒猫とハロウィンはこれからも不思議な魅力を放ち続けることでしょう。